
桃野小学校に通っていた頃、帰り道はたいてい友達と一緒でした。同じ方向に帰る子と連れ立って、時には一人で。その日の気分で、少し遠回りをすることもありました。
冬の帰り道が、一番記憶に残っている
月夜野の冬は、雪が多かった。道に積もった雪が踏み固められて、足元がすべりやすくなっていました。長靴で歩きながら、わざと深く積もったところを踏んで、ぼふっという感触を楽しんでいた気がします。
冬は日が暮れるのが早く、帰り道の空が夕焼けから暗い色に変わっていくのを見ながら歩きました。寒い空気の中で息が白くなって、山のシルエットが空に浮かんでいた。急いで帰りたいような、もう少しだけ外にいたいような、そんな気持ちで歩いていた記憶があります。
春になると、気持ちが変わった
雪が解けて道が乾いてくると、帰り道の空気がやわらかくなりました。足取りが軽くなって、どこかへ寄り道したくなる。田んぼに水が入り始める頃になると、景色がぐっと明るくなって、帰るのが惜しいような気持ちになりました。
桃野小学校の周りの景色は、季節ごとに全然違う顔をしていました。毎日通る同じ道なのに、飽きることがなかったのは、そういうことだったのかもしれません。
月夜野に帰ったとき
東京に暮らしていると、あの帰り道を思い出すことがあります。正確な景色はもう覚えていないけれど、体が覚えているような感覚が残っています。
月夜野に帰ったとき、桃野小学校の前を通ることがあります。道は変わっていても、遠くに見える山は変わっていない。あの頃の自分が歩いた道を、また歩いてみたいと思っています。急がずに。